熱海と言えば、温泉リゾートだけど…。
なぜ、海が熱いと書くんだろ?
実は熱い海になったのは奈良時代のことが関係してるみたいよ?
今回は、熱海が熱い海と書かれる理由など紹介するわ!
首都圏からアクセスしやすい温泉リゾートとして知られる「熱海」ですが、なぜ「熱い海」と書くのでしょうか?
類似した地名は、海がない場所にも存在しています。
熱海の語源
静岡県熱海市は東京からのアクセスが便利な人気観光地で、温泉街と海水浴スポットとしても有名です。
なぜ「熱い海」という地名なのでしょうか?
熱海駅近くの商店街では、側溝から湯気が立ち上る様子や、温泉まんじゅうが温泉の湯気で蒸されている姿が見られ、「熱」という言葉が至る所で感じられます。
熱海が「熱い海」と名付けられたのは、この熱さに由来します。
海から湧き出す温泉が、現在の温泉街の礎を築いたのでしょう。
海がない「熱海」
海がない場所にも「熱海」という地名があります。
福島県郡山市の磐梯熱海温泉がその例です。
町内には「上伊豆島」や「下伊豆島」といった名前も見られます。
「あつみ温泉」との関係
山形県鶴岡市の「あつみ温泉」は「熱い」ではなく「温い」ですが、名前に親和性があります。
奈良時代、箱根の万巻上人が海中から山里へ温泉の源を移し、これが現在の大湯となったと伝えられています。
また、海中から温泉が湧き出したことから「あつうみが崎」と呼ばれたのが、変化して「熱海」となったそうです。
熱海七湯とその歴史
大湯をはじめ、古くからある7つの源泉は「熱海七湯」と呼ばれ、今も訪れる人々に親しまれています。
- 河原湯(熱海市観光協会付近) かつては熱海村の農民や漁師、近隣の住民が利用した温泉で、人が入ると透明な湯が白く濁るといわれます。
- 佐治郎の湯(銀座通り・スルガ銀行横) 佐治郎という人物の邸宅にあったためこの名が付き、眼病に良いことから「目の湯」とも呼ばれました。
- 清左衛門の湯(古屋旅館玄関前) 清左衛門という人物が馬で走り、この湯壺に落ちて焼死したことからこの名前が付けられました。
- 風呂の湯・水の湯(福島屋旅館横) 湯気が盛んに出たため、まんじゅうを蒸したり酒を温めて売っていたとされ、外傷に効くといわれています。
- 大湯(湯前神社付近) 古来からの間欠泉で、現在は人工的に噴出するよう整備されています。
- 小沢の湯(日本たばこ産業前) 小沢(こざわ)にあったことからこの名が付き、声の大きさで湯の湧き出る量が変わるとされます。
- 野中の湯(中銀ライフケア咲見入口) 河原湯と同じく、農民や漁師、近隣の住民が利用していた温泉で、透明な湯が人が入ると白く濁るといわれています。
家康が愛した大湯
徳川家康は健康維持に細心の注意を払った将軍で、医者よりも多くの知識を持っていたといわれます。
家康が初めて熱海を訪れたのは慶長2年。
その7年後に再訪し、湯治のために17日間も滞在したと伝えられています。
家康は熱海の温泉が健康に効果的だと感じていたのか、その年に病気療養中の吉川広家に熱海の温泉を運ばせました。
お汲湯とは
この「お汲湯」という発想は4代将軍家綱の時代にも続き、大湯は将軍家御用となり、毎年数回、江戸城本丸や西の丸に届けられました。
7代将軍吉宗の時代には、お汲湯がさらに盛んになり、8年間で3,643樽もの温泉が運ばれました。
昔の熱海は温泉地ではなく、「熱い海」がある場所として知られ、そこから「熱海」の名前が付けられました。
「あたみ」という名称は、「熱い海がある場所」を意味する「あつうみが崎」が変化したものという説もあります。
熱海の由来は「あつうみが崎」にあり? まとめ
似たような地名である山形県鶴岡市(旧温海町)の「あつみ温泉」は、「熱い」ではなく「温い」と表記されますが、その名前は熱海との関連性が感じられます。
こちらは「温泉から溢れた暖かな湯が川を流れ、日本海を温めた」ことに由来するものです。
海から湧き出た熱海の温泉に対し、あつみ温泉は確かに「温かい」ものだったのかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました!