「させていただきたく存じます」って二重敬語なのかな?
ちょっと回りくどく感じる言葉だけど…。
回りくどいイメージはあるけど、二重敬語ではないわ。
今回は、「させていただきたく存じます」について紹介するわね!
ビジネスシーンでよく見かける「させていただきたく存じます」という表現。
これを二重敬語だと感じる方も少なくないでしょう。
丁寧な表現として使ったつもりでも、本当に正しい敬語の使い方かどうか気になりますよね。
今回は、「させていただきたく存じます」の意味や正しい使い方、二重敬語なのかについて詳しく解説します。
「させていただきたく存じます」は二重敬語ではない
「させていただきたく存じます」は、自分の希望を丁寧に伝える表現です。
- 「させていただきたく」は「させてもらう」の謙譲語
- 「存じます」は「思う」の謙譲語
このため、「させていただきたく存じます」は「させてもらいたいと思っている」「自分にさせてほしい」といった意思を丁寧に伝える表現となります。
「させていただきたく存じます」は正しい?
結論として、「させていただきたく存じます」は二重敬語ではありません。
二重敬語とは、同じ種類の敬語を重ねて使うことを指します。
「させていただきたく存じます」は「させていただきたく」と「存じます」の2つの異なる言葉に分けることができ、それぞれ異なる意味を持つため、二重敬語には該当しません。
「させていただく」を使う2つの条件
文化庁の『敬語の指針』によると、「させていただく」を使う際には以下の2つの条件が必要です。
- 相手または第三者の許可を得ているかどうか
- そのことで自分自身が恩恵を受けるかどうか
「させていただく」の正しい使い方
「させていただく」を正しく使うためには、前述の2つの条件を満たしているか確認しましょう。
許可を得るとき
相手の許可を得る場合に使います。
例えば、相手が作成した資料を保管する場合、「保管させていただきます」と伝えます。
以下のような例があります。
- 作成した契約書は、コピーを取り保管させていただきます。
- 日曜日は定休日なので、スケジュールを変更させていただきます。
- 申し訳ありませんが、私用のため早退させていただけないでしょうか。
相手の依頼に応えるとき
相手から依頼された場合にも使えます。
例えば、「明日の午後に電話してほしい」と頼まれた際、「それでは、明日の13時に連絡させていただきます」と返答します。
- 明日の13時に、連絡させていただきます。
- ご質問に関しては、今週中に回答させていただきます。
- ご注文の商品は、予定どおり、発送させていただきました。
「させていただく」の誤用と言い換え表現
「させていただく」の誤用についての許容度は人それぞれですが、できるだけ誤用を避け、言い換え表現を覚えておきましょう。
「させていただく」は「します」「いたします」などに言い換えられます。
相手の許可がいらないとき
例えば自己紹介で「◯◯高校を卒業させていただきました」などというのは適切ではありません。
次のように言い換えましょう。
- ◯◯高校を卒業させていただきました → ◯◯高校を卒業いたしました
- 部長を務めさせていただいています → 部長を務めております
- 進行を務めさせていただきます → 進行を務めます
依頼されていないとき
相手の許可が不要な行動を表現する際は、「させていただく」を使わないほうが良いです。
例えば「配布させていただく」より「配布いたします」とシンプルに伝えるのが良いでしょう。
- 配布させていただきます資料をご覧ください → 配布する資料をご覧ください
- 新商品を発表させていただきます。 → 新商品を発表いたします
- 月曜日は休業させていただきます。 → 月曜日は休業します
二重敬語
同じ種類の敬語を重ねることを「二重敬語」といいます。
「させていただく」は謙譲語なので、他の謙譲語と一緒に使わないよう注意しましょう。
- 後ほど拝見させていただきます → 後ほど拝見いたします
- 拝読させていただくのが楽しみです → 拝読するのが楽しみです
- 伺わせていただくことになりました → 伺うことになりました
連発
「させていただく」を多用するのは避けましょう。
「早急に確認させていただき、ご連絡させていただきます」などはくどい印象を与えます。
できるだけシンプルに表現しましょう。
- 早急に確認させていただき、ご連絡させていただきます → 早急に確認し、ご連絡いたします
- 社内研修をさせていただきたいので、お休みさせていただきます → 社内研修のため、お休みします
- 作成させていただき、お渡しさせていただきます → 作成し、お渡しします
「させていただきたく存じます」は正しい敬語 まとめ
「させていただきたく存じます」は「させていただく」と「存じます」の異なる意味を持つ表現です。
二重敬語ではないため、ビジネスシーンで使っても問題ありません。
ただし、回りくどい印象を与える場合があるため、使う場面や相手を選ぶことが大切です。
最後までお読みいただきありがとうございました!